地獄のようなサムネの体臭のキツさに反してシティポップ崩れのお洒落な前奏が流れた時は吹き出すかと思った。
「最後のナゴムの遺伝子」と称されたり、閃光ライオットで「土曜日の俺はちょっと違う!」と叫んでいた挫・人間のままイメージが止まっているとしたら非常に勿体ない。前作『テレポートミュージック』で大進化を遂げた彼らが、今作ではさらに洗練。というかこんなことも出来たのか挫・人間。と毎度毎度驚かされるばかりです。ファンとしては。
終電後の秋葉原駅で自転車に乗るノーフューチャーなボクこと「ゲームボーイズメモリー」の主人公はボーカルの下川リオ(25)本人。*1だが、きっと"同世代のイケてなかった僕たち"に直撃するボールの投げ方をしている。「ぼくはまだポケモン言えるから」という一節がこんなに切なく響くとは。
曲の舞台は未来。といっても、"あの頃"から見た未来だ。大人になった僕が見る現実は、同級生が結婚して子供がいたり、夜通し過ごした後のまともでいられない朝であったり、周りと自分を見比べた時の、ほとんどはどうにもならない焦燥や閉塞感である。叫び出したくなるような衝動をBメロに乗せたあと、ゆらっと落とすサビが人間的で美しい。
ポケモン世代ならニヤッとしてしまうフレーズが要所要所で使われているのだけれど、笑った後に少し虚しくなるような突き方をしてくる。「フロム1996 レペゼンマサラ」なんて歌詞、他の誰でも無く下川君にしか歌えない。でもこれを歌う人をみんなずっと待っていた気がする。"青春依存の僕たち"は。
さて。
挫・人間は脱退に次ぐ脱退でドラムがいなくなったので打ち込みに傾倒し出した仲良しバンドです。歌って踊れるアイドルバンドです。ボーカルが美少女です。気持ち悪いバンドTシャツを売っています。
挫・人間ファンはどんなパンチあるTシャツを作っても着るので、負けたくなくて新しいTシャツ作りました。年確して売ります。
— †下川リオ† (@shimokawakun) 2016年7月26日
あのクジラックス先生(@quzilax)デザインの18禁Tシャツです!
※良い子は見ちゃダメ買っちゃダメ。 pic.twitter.com/M1E54HRxfE
3人の動きがバラバラな箇所は誰のが正解なんだよ。
昨年リリースされた「セルアウト禅問答」のMVも素晴らしかった。
流行りの4つ打ち&ラップ調のAメロはゲスの極み乙女を想起させる‼なんて書いていた人もちらほらいるけれど、悪魔のようなBメロがミーハー邦ロック好き夏フェス厨を一掃。「どぉおしてこううなってしまったんだああああああ」
こんなに気持ち悪くて気持ち良い音楽はなかなか無いのに、天使のように笑顔で踊る佐藤玲ちゃんのすばらしさ。他のバンドなら間違いなく動画のサムネは超可愛い佐藤玲のアップにするはずなのに、一番大きく映ってるのはピンボケしまくるメンバーの姿だ!
「下川最強伝説」という曲なのにMVでボーカル下川君より他メンバーが目立ってしまう事態。それに対してついたYoutubeのコメントが
「下川くんが脱退してもやっていけそう」
僕もそう思います。
最初は挫・人間のことを解説しよう!という意気で書き始めたこの記事だが、正直、もうその気持ちはどっか行ってしまった。大丈夫、分かる人には分かるはず。僕はまんまとハマってます。あなたも良ければ。
あの踊ってない夜を知らないことで有名なフレデリックの双子のお兄さんもハマってることですし。挫・人間にまんまとハマってしまいました
— 三原健司(双子兄) (@kenditter) 2016年9月23日